19日のひるすぎ、塩竈市魚市場中央棟2F大会議室でALPS処理水海洋放出に伴う意見交換会が実施されました。
塩釜市水産振興協議会関係者を中心とした事業者・各団体と地元行政関係者、国の関係機関並びに東京電力ホールディングス株式会社(=以下東京電力HDと記載)の当該部署の関係者が出席しました。
塩竈市魚市場と水産業を取り巻く様々な事業者と機関が参加|国の3関係省庁が来塩
この日参加した地元事業者は、宮城県水産物物流対策協議会塩釜支部と宮城県産地魚市場協会により会開催の通知を受けた、水産振興協議会の会員を主とした各機関と事業主。
卸売・小売・水産加工・物流・包材など、塩釜港を拠点にする水産にまつわる様々な業種が集まりました。
地元行政としては、塩竈市や宮城県の水産または復興関連部署の関係者が会場入り。
一方、ALPS処理水海洋放出の実行側としては内閣府と環境省に復興庁を加えた国の3機関と、東京電力HD福島本部執行役員ら関係者が列席しました。
福島第一原発事故関連の賠償問題に関する会として、国・県に加えて東京電力HDの役員が塩竈市魚市場に揃い踏みするのは今回が初めてです。
国がALPS処理水の安全性と取組み状況を報告|東電HDが賠償の基準や対応の説明
意見交換会が始まり、出席者紹介のあと伊藤信太郎環境相、海洋放出の実行側と地元側それぞれの機関代表者らが挨拶。
本題に移ると内閣府の新居泰人福島原子力事故処理調査総括官が、海水と水産物のトリチウムなど放射性物質測定をはじめ各方面で講じられた施策の実行状況を報告しました。
また、ALPS処理水の海洋放出が海水と水産物の安全性を害することはないとした解説と、広報強化など含めた風評被害対策の現況、ならびに今後の計画とその見込みについても述べていました。
続いて東京電力HDが、賠償の取組み状況や風評被害発生時の賠償基準に関して説明。
同社福島補償相談室の仙台事務所を設けたことで、ケースに応じた相談やスピーディーなケアが可能になっているとして理解を求めていました。
風評被害の概念と被害事業者の範囲解釈に食い違い|賠償対象の見直しへ
塩釜港を拠点とする事業主側が問題視していたのが、水産関連業種の範囲と風評被害の概念など解釈にバラつきがある点。
漁業の先にある卸売・小売り・加工業など海産物を直接に扱う事業者はいわずもがな。
間接的に扱う包材や物流の事業者も、風評被害の憂き目に遭う現状の認識不足を指摘する意見もありました。
さらには、相談窓口が混在している実情や賠償の認定を得るまでの煩雑さを懸念する声もあがりました。
こうした質疑や問題点を受け、東京電力HDの内田正明福島本部執行役員復興本社副代表兼福島本部副代表は賠償対象の業種見直しについて言及。
同社福島補償相談室の機能を仙台にも置き、迅速な状況把握と対応がかなうようになったことから、交渉や手続きの面で地元事業者の負担軽減が見込まれる点も付け加えていました。
伊藤環境相は『対策に全力をあげていく』と塩釜港の水産を支える面々にこたえていました。